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とるトンボ

Author:とるトンボ
太陽系第三惑星のニッポン国・九州アイランドの中央付近に生息する極楽トンボな男。

地球生活半世紀を過ぎても、なかなかこの地の文化になじめず、周囲から「カワッテル」と評される自分の感覚を、ブログで発信してみようと思いたつ。
だから、地球生活の「当方」見聞録(^^)

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『越前竹人形』

2009年1月11日(日)   

水上勉の『越前竹人形』を読了。

北陸の貧しい寒村に生きる竹人形師喜助と、娼妓をやめて花街から嫁いできた玉枝の哀切な夫婦愛の物語。
越前の山間の風景や、京都の町の様子を簡潔に描きながら、それぞれの登場人物の心模様を丁寧に辿っていく水上勉の文章が、静かに着実に、読む者の心の中に物語世界を形成し、情景や真情を染みこませていく。

喜助が玉枝を看取る最後のシーンでは、胸が塞がるような哀感に見舞われた。
玉枝の口にする京言葉混じりの方言が、いっそう哀切をかき立てる。

哀しいとも、美しいとも、言いようがない。
そう言ってしまっては、決して言い切れないものが、ここに表現されていた。
言葉にできないものが浮き彫りにされていなければ、物語作品の値打ちはない。

喜助と玉枝のそれぞれの生涯と心象が、読後に何とも言い難い感情をともないながら、胸によみがえってくる。

久々に小説を読んで感動した。
名手によって丁寧に紡ぎ出される言葉の力というものを、あらためて実感した。

水上勉の文章は、精緻に織り込まれた紬を見るように、読む者の心に染みわたる。
言葉で構築される世界の確かな実在と値打ちを、想い出させてくれる作品だった。


越前竹人形



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